酸素/AquArium
酸素を吸うと器官が千切れそうになって
吐き出すことしかできないでいる
冷たさ なんかじゃない
痛い 痛い
結露に起こされるようになった
雫の冷たさでなぞった
消えかけそうな意志を
通勤中に思い出しては
長月はじめに
目が合って笑ったことなんかを
マフラーの下で呟いては
白い息を嘆く
始まりの朝と
終わりの朝を迎える
僕らの生き方を想ったりして
日が暮れるころに笑いあいたいと願う
共存できる時間の重なりが少ない
まだ腕まくりしていた頃の
眼差しが残っているだろうか
僕は日増しに美しい理由を重ねている
その煙
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