比較的に緩やかな坂道/竜門勇気
 

比較的に緩やかな様を
眺めている
それだけで言葉に出来なかったことが
伝わったような気がしている

新しいニュースが
平べったく流れていく
変わってしまった人
喉が鳴って一人
真顔のままで笑ったフリ
僕の瞳には一時停止のマークが浮かんでて
周りは途方も無い倍速がかかってる
高校のある小高い丘を下って
住宅街を抜けた

生活と少しだけその外の世界
街灯が楔のように打たれてる
緑の偽物
暗くてよくわからないぐちゃぐちゃした森
歩くためだけの道

ニホンゴじゃロックはできないんだよ
ガイコクゴでもダメだ
ロックを造った人に聞きに行こう
キリストに主の話を聞きに行くみたいに

比較的緩やかな坂道を登っている
ポケットの中のくるみの粒を砕きながら
真顔のまま
どこも見ないようにしながら
なんにもわからないようにしながら
消えないように
しがみつかないように
戻る   Point(2)