まぼろし/
番田
手にした物は
いつか 手にしていない物として 私の元を離れていく
私は防波堤の先端に立っていた
魚の形を いつも 追い求めていた
私は何をしていたのだろう
いつも人の形を遠くに 私自身の体として見つめていた
何も知らないということが いつも 私の体を
地面の上に 確かにさせる
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