結納/はだいろ
はおおらかで、
小さなところではせせこましい、
人間なのだろう。
彼女の両親は東京の人なので、
わりとさばさば、
どうでもよいかんじなのだが、
まあ、
そうゆう文化摩擦も、
結婚の楽しみなのかもしれない。
それにしても、
お金は飛ぶように出てゆく。
両親が、
東京へ出てくるホテル代込みの、
航空料金で、
ぼくの少なくなったボーナスは、
ほとんど吹っ飛んでしまうだろう。
女の子と、
遊びたいのに、
遊ぶひまも、お金もない。
こうやって、
ひとつの人生の、
ひとつの季節が、
過ぎてゆくのかもしれない。
地下鉄の行き帰りでは、
藤沢周平の小説を読んでいる。
時代小説なのに、
40すぎのサラリーマンには、
実に、
鏡のように、
身につまされるお話である。
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