責任逃れの太陽/カンチェルスキス
俺には何もわからない。
水道の蛇口をひねる。おまえの体液が心地いい。
ずっとたゆたっていたい。
かるく海の匂いがするそこに、ずっといたい。
ずっといたい。
傾いた砂。傾いた砂。温度のある花。
何を求めるのか?何を求め、何に飽きるのか?
信号が赤から青に変わる瞬間に、死体が崖の下で腐っていく。
誰にも見つからない手だ。ぶらさがって、記憶をたどってる。
空気をつかみながらスタイルを探してる。
直角に曲がった肘の先からバス停の後ろのブロック塀を見つめる。
何もない。何もない。何もない。何もない。
黒みがかった何もない。が。どうしてこんなにもあるのか。
マンホールとアスファルトを分かつ曲線が
責任逃れの太陽みたいに
くっきりと死んでいる。
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