そら室の啓示/ただのみきや
いつものように仕事をしていた
アパートの郵便受けに貼られた
よくある 空室 の文字をなぜか
一瞬 そら室 と読んでしまうと
ドアの向こう せまい間取りの境界が
ぼんやりしてきて 真っ青な空が広がった
人も小さな入れ物だが
心は空のように広大で
その境は無限であり永遠であるものと接している
あなたの内に巨大な台風が停滞して幾日になるだろう
瞳の中に稲光が走る 危険すぎて近づくこともできない
大切な日がゆっくりと しかし速やかに 燃え落ちてゆく
炎に包まれて なにもかも
大切な人がゆっくりと今 暮れて 逝く
やがて
濃紺の闇をこじ開けて
未知なるものが
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