小さな手/
木立 悟
にぎやかに駆ける言葉にかき消され
かき消され かき消され 再びもどる
あたたかなかたち
小さくたなびく
あなたのかたちに
長い長い夢からさめたとき
また別の夢に居たとしても
そこが夢だとわかるように
夢ではないものから離れぬように
あなたからも
あなたではないものからも
離れぬように
握られた手は
雀たちに満ちた枯れ穂のなかで
黄金色にそよぐ枯れ穂のなかで
そっとそっとひらかれて
もうひとつの手に触れたとき
再び強く握られてゆく
戻る
編
削
Point
(6)