小さな手/木立 悟
 

にぎやかに駆ける言葉にかき消され
かき消され かき消され 再びもどる
あたたかなかたち
小さくたなびく
あなたのかたちに



長い長い夢からさめたとき
また別の夢に居たとしても
そこが夢だとわかるように
夢ではないものから離れぬように
あなたからも
あなたではないものからも
離れぬように



握られた手は
雀たちに満ちた枯れ穂のなかで
黄金色にそよぐ枯れ穂のなかで
そっとそっとひらかれて
もうひとつの手に触れたとき
再び強く握られてゆく






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