その吐息のほどき方/A道化
砂塵に覆われたコンクリート
目を凝らせば
ほつれ落ちた枯れ枝、その向こう
目を凝らせば
灰皿代わりだった冷たい赤い一斗缶、その向こう
公園を閉じ込め続ける鉄条網、その向こう
澄み過ぎた肺のような、空、その向こう
目を凝らせば、くっきり
向こう側だけが見え続けていました
嘗て
笑ってたしなめようとしたそのときに
自分からふざけるのをやめてしまった貴方の吐息は
冬、という、弱い、白い、発音
呼吸ごとに
私の肺を苦しめた、その、冬、のほどき方を
私は追求などしなかった、なのに、いつの間にか
自分からほどけてしまった貴方の吐息が
今もどこかで、冬、とい
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