monologue/雛鳥むく
この街には母がいないから
なにもかもがまるで意味不明
詩ですか? それは)
まるで詩を書いているみたいでした
なんにんもなんにんも殺したが
代名詞をあやめても罪にはならない
これは祈りですか?
「赦されるために赦してみたりして。
雪がふっています
「こごえている。
氷結、
(あるいは恩赦、)
詩人は窓硝子の結露すらも詩だとうたう
おなじころ
寒色をした海辺では
新社会人たちが列をなし
防波堤から海に飛びこんでいた
真新しいスーツはすぐに
仄暗い水の中に消え
世界の片隅ではまたひとつ
甲高い産声があがる
と
いうような寓話で
殺戮をくりかえす彼ら
(いちにちになんにん殺せば気がすむのか)
まじないはまじないのまま
形骸は形骸であることをやめずに
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