谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
のは、友人と詩との間に、詩人と詩との間にあるような幸福な関係を作り出そうとする詩人の意図である。詩人はそのことによって、友人を「詩の長所が分かる人間」「詩を愛する人間」と規定しようとしている。ここにあるのは、詩人が友人を一方的に規定しようとする意図であり、詩人が友人を自己のまなざしのもとに支配しようとする意図である。
さて、もう一度問うてみよう。なぜ、詩には価値があるのだろうか? この問いには、上述したような詩の長所によって答えられるかもしれない。だが、詩の価値は、詩の備えている水平的な諸属性にのみ由来するのではない。端的に、詩の価値は、詩と詩人の垂直的な関係に由来しないだろうか。それは、詩人
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