無題/いかりはじめ
 
捨てられた孤島の美術館を支える大理石の柱の気丈さ

黒くつつまれた肌は梅雨の泡立つため息をかたくなに拒み

妖しい香の静けさはシベリアの狡知を委縮させた わが世の春 素晴らしき家庭菜園 

ふくよかな大地にも脅迫におののく日々が 来るのですか 粉をふきすぎた無形の恋人を目端に追いやって

胃腸薬をにぎる手がふるえるのですか

三十路を過ぎると脳細胞の死滅は加速して 筋肉はひごと固くなってゆく ビールが美味しいわたしはお相撲さん
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