さみしいさみしいさみしい/うめぜき
 

さみしいさみしいさみしいとひたすらに
祈るのだった

するとあたり一面に
さみしいさみしいさみしいという声が響いて
わたしはともすると聞き惚れている
ふと気がつくと
塀の上の猫が欠伸をしており
ああ、さみしいさみしいさみしいと
呪文のように口ずさむ

ぼんやりと辺りを見渡すと
まるでわたしに興味の無さそうな人が何人か歩いていて
ちょっとした絵画のように遠く感じる
さみしいさみしいが
ちょっとだけ胸を暗くしたので
わたしは

わたしは
夕陽に
あなたのことを思い浮かべては
消えていくのを
ただただ
繰り返して
さみしい
さみしい
さみしい

まるで
秋の
さざなみのようだ










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