尖頭恐怖症の男/そらの珊瑚
現実を超えた現実を生きている
尖頭恐怖症の男が言う
僕は丸い世界に住みたいのに
なぜか
角度がせまってくるんだ
君のその細い指さえ
心臓をつら抜く槍になる
空から降る雨さえ
脳天に突き刺さる針になる
罵詈雑言は
ジグザグに割れたガラス
巧妙に細工された嘘は
ペーパーナイフ
今夜の三日月さえ
魔女の手先
鉛筆を極限にまで細らせて
呪いのコトバを書き付ける
やっと手に入れた丸い世界も
たった一本の松の葉で
ぱちんと割れた
風船みたいに
何かに怯えて生きる男は超現実を生きている
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