春処/
治
春を探しに行きませふ
この手に捕まへ機を織り
春に包り眠りませふ
見付けたければ目を瞑れ
手に取りたければ足運べ
春はひっそり雪を割り
声無く風に揺れてゐる
清かに伸び立つ蘭を一筆
春の匂ひを機に摺る
天日に泳がせ重さを空し
蝶を攫う網にする
此れが春の棲み処になるやふ
忘れず帰って来るやふに
春を探しに行きませふ
白から芽吹いた柔(やお)い彩摘み
春に包り咲ひませふ
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