予感/まーつん
 

暖かい日差しを 凍えるような北風を 重力の鎖を 立ち上がる力を

そうして僕の中に息づく かりそめの命の なにもかもを
君たち文字に移し替えて この精神の胃袋を 空っぽにしてしまおう
ちょうど雑貨店の 棚卸のように
想像の領域から 仕入れた
有象無象の イメージを
文章という 帳簿に
移し替えていく

これに のめりこむと
僕という 一個の存在から
性別が 抜け落ち 年齢が 消え失せ
気が付けば 空白の世界を あてもなく彷徨い
一匹の ホタルのように 明滅する
ちいさな ちいさな 造物主となっている

あるいは むなしく杖を振り回し
思い通りに 言葉を舞い踊らせようとする
未熟なる 魔法使いに

それはいつも 予感から始まる
衝動となって 芽生えてくる
やがて うずくような
欲望へと 脱皮して

何かが 出てきそうだ
僕のおなかの あたりから  

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