こころは瞬くうちに/ホロウ・シカエルボク
 



知らない森を歩き
知らない木の実を捥ぎ
知らない蜜を舐めて
知らない水を飲む


細胞は情報を更新して
肉体は塗り替えられる
それまでのようでそれまでにないものに
わたしと呼ぶことも
躊躇われるほどに


目を閉じて息を吸い込むことが
奇跡だと思えるほどの空気
悪いものを浄化するような
しんとした…


知らない森を歩き
知らない木の実を捥ぎ
知らない蜜を舐めて
知らない水を飲む
肉体を通過するものには
混じりけのない一生があり
混じり合う過程の中で
わたしは

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