ひとは白を正視しない/吉岡ペペロ
 
ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

美観地区の入り口の交差点が

信号がかわるたびにそう囀る

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

欠けたまま生きている

欠けているということは

かけらがどこかにあるからそう思うんだ

ぼくは忘れ去られてゆく

ぼくは捨てられるのが怖い

それを知りたくない

かけらがどこかにあるからそう思うんだ

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

美観地区の入り口の交差点が

信号がかわるたびにそう囀る

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

なにかを見つめているのに気がつく


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