あの日に還りたい/一 二
幼子は俺にとっての
起源にして頂点
願わくば
これからの一日一日の
当たり前のことに
畏敬の念で結ばれていますように
かつては野も森も小川も大地も
目に写るありとあらゆる光景が
俺にとって光に包まれて見えた
夢中の栄光と瑞々しさに包まれて見えた
だが、今はかつてと異なる
どちらを向いても
夜であれ昼であれ
もはや今
かつて見えたものを見ることはできない
幼子よ
そのうわべの姿からは証し得ぬ魂の奥深さよ
至高の哲人たる幼子よ
いまだ失わぬ神からの祝福
ただ闇雲に時を消費した大人に混じって
ただ独り
眼を閉じ
耳を閉ざし
口を閉
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