蛇音/よーすけ
 
「基地」だった。その場所にないものなど何もなく、一生そこに住んでもいいと思えるほどだった。だが「基地」の中の人口はみるみるうちに増え、恐らく同学年ぐらいの見知らぬ奴らさえ出入りするようになった。そいつらは恐らく隣町の小学生や中学生で、まるで自分たちの土地であるかのように我が物顔で「モンド」を闊歩していた。それが瑞嶋には許せなかった。
 ある日栗須は止せばいいのに、と言ったが瑞嶋は聞かず、ゲームセンターで遊んでいる隣町の中学生にいきなり殴りかかった。そして「ここで遊びたきゃおれの許可を取れ」と告げた。幸い学校で表沙汰にはならなかったが、それに増長して彼は「パトロール」と称して、遊びに来ている同学年
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