蛇音/よーすけ
にぎやかな街だったのだが、商業施設が相次いで建ったり、道路の拡張、整備が進んだこともあって、人口が県下で二番目にまで膨れ上がった。そしてそういった移住だけでなく、遊びに訪れる人間も大きく増えた。街を県外のナンバープレートをつけた車が走っていたり、遠く離れた高校の生徒が列車に乗って「モンド」目当てに訪れたり、という光景が頻繁に見えるようになった。
瑞嶋はこの街の発展をあまり愉快に思っていないようだった。三年前「モンド」が開業したとき、彼は人一倍心をときめかせてモール内を駆け回った。小学生のとき知り合いの商店からもらった段ボールで作った秘密基地なんざ比較にならないくらい、その場所は瑞嶋にとって「基
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