蛇音/よーすけ
 

「前ここに偉そうな奴が来てここに道路通すからお前らどけって言うから、シロウのオジキがお前らが帰れって言い返したんよ。そしたらあいつら、退いた奴にはお金やるって言うて、それでみんなアホみたいに言う通りにし始めてん。でも母さんは絶対退かんかった」
 少年は栗須がその「偉そうな奴」であるかのような剣幕を見せた。
街にある真っ白の橋げたを栗須は、自分の位置から見えもしないのに見ようとした。あれがここを通る、と思うとそれは果てしなく長いように思えた。少年の話はどこまで本当か分からなかったが、栗須はそれ以上何も訊き返さなかった。あの家も直になくなる。そしてこの恐らくは竹林も。もしそうなれば自分もこの少年
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