蛇音/よーすけ
たように視界に入る人物一人一人に手応えの無い引き金を引き続けていた。
「おい」栗須が業を煮やして肩に手をかけると、瑞嶋はようやくその想像の銃撃を止め、「なあ。俺たちもうガキじゃねえよな」と突然何十歳も老けたように言った。
栗須も瑞嶋も、その中学生離れした体つきのおかげで周りに敵と呼べるものは存在せず、気に入らない事があればすぐ力で自分の理屈を押し通し、歯向かう奴のほとんど全員を屈服させてきた。おかげで彼らは同年代の中では支配者として恐れられていた。だが実際栗須と瑞嶋には自分たちが支配者であるという実感は一切なく、むしろ段々と弱者の立場の方へ追い込まれているような気さえしていた。
外に出ると夏
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