蜃気楼の魚/三条麗菜
 
一つの物語となり
私の口を通じて
子供に襲いかかるだろう
眠りにつく間際の
私の言葉は
揺らめく蜃気楼の魚たち
それは子供を飲み込んで
いずこへと連れ去ってゆく

それを止めることができるのは
あなただけ
襲われてからでは何もかもが遅い

ありふれた生活の中で
周囲の人しか目に入らなくとも構わない
その人たちの中で
うまくやってゆけるなら
そのための言葉を
あなたから授けてほしい

蜃気楼の魚に
襲われる前に

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