蜃気楼の魚/
三条麗菜
一つの物語となり
私の口を通じて
子供に襲いかかるだろう
眠りにつく間際の
私の言葉は
揺らめく蜃気楼の魚たち
それは子供を飲み込んで
いずこへと連れ去ってゆく
それを止めることができるのは
あなただけ
襲われてからでは何もかもが遅い
ありふれた生活の中で
周囲の人しか目に入らなくとも構わない
その人たちの中で
うまくやってゆけるなら
そのための言葉を
あなたから授けてほしい
蜃気楼の魚に
襲われる前に
戻る
編
削
Point
(6)