さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
 
た絹の上衣は、彼女の皮膚の暗色の上に鮮やかに際立ち、すらりとした肢体、くぼんだ背、尖った乳房をくっきりと彫り出している。
                (『パリの憂愁』「うるわしのドロテ」)

百合愛ず、日と浦隠る炎に成り果せて、主なき厩の爪弾く書損に合す。勘定違いの発話、然も芸閣より垂れる階に五指を立て、頬に齟齬を埋む、姫。
                (『さよならニッポン』「姫」)

同じく少女を描いたこの二つの部分は、どちらも少女を愛撫するかのように丁寧に修飾しているという意味では類似している。『パリの憂愁』において、レトリックは主に修飾と直喩によって担われている。特に修飾
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