さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
所である。空の無窮、雲の移動し行く建築、海の移り変る色彩、灯台の灯の燦き、それらは、飽くことなく眼を愉しませるために、巧妙にしつらえられたプリズムである。
(『パリの憂愁』「港」)
まず単語はみな不連続である。「港」「は」「人生」「の」、みな不連続である。だが、人間が文章を読むとき、単語間の不連続性は特に意識されない。むしろ、それまでの経験や言語経験に文が即していれば、人間は単語間に連続性を感じる。「人生の闘いに疲れ倦んだ魂」というなんの蹉跌もないフレーズに対し、人間は連続性を感じる。
それに対して、論理的・物語的に等置にあるものが列挙されているとき
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