観覧車に亡命/コーリャ
光で、ゆっくりと、夕暮れを攪拌しながら、わたしたちに手をふる、観覧車へ、続く道のりに、情景が吸い込まれていって、あ、わたし、こんなときになんていえばいいんだっけ、って、ウィンドウを下げながらおもったんだけど、変な綴りがたくさん思い浮かぶだけで、まあ、いいや、窓から頭をだして、それをひとつのこらず、ちからいっぱい叫んだのだった。
ていねいにならされた波のうえにいるように、観覧車の箱はゆるやか、スロウに揺すれて、遠い海中に沈んだ電灯の群れ、夕日を手に入れられない海中生物の街に同情している。そしてわたしたちこれからここで暮らしてゆく、って、ちゃんとわかってしまった。王族はシフト制だから、とあなたは
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