ノート(消えたひとへ)/
木立 悟
たは突然 消えてしまった
呼びもどせないものに呼びかけながら
倒れ来るけだものの陽に微笑みながら
苦しみが待ち
苦しみが待つ
手をほどこうともせず走り出し
柱にぶつかり
曲がり角は消える
迎えの来ない まっすぐの道
異なる季節の 午後にまたたき
空に触れては 消える左手を
右手で曇に 彫りつづけていた
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