ノート(消えたひとへ)/木立 悟
 
たは突然 消えてしまった
呼びもどせないものに呼びかけながら
倒れ来るけだものの陽に微笑みながら



苦しみが待ち
苦しみが待つ
手をほどこうともせず走り出し
柱にぶつかり
曲がり角は消える


迎えの来ない まっすぐの道
異なる季節の 午後にまたたき
空に触れては 消える左手を
右手で曇に 彫りつづけていた


















[グループ]
戻る   Point(3)