準備はいらない/ホロウ・シカエルボク
 


もっと暗くなってから
ほんとうの話をしようよ
もっと明るくなってから
ほんとうの眠りにつこうよ


月はメルヘンを抱え込み過ぎて白くなる
太陽は輝きを求められ過ぎて冷たい冬の雨雲に隠れる
僕らのために生きてくれる誰かを
僕らはいつも探し続けている


こんな時間にはいちばん
何を話せばいいのか判らない
こんな時間にはいちばん
どんな夢を見ればいいのか見当もつかない


明りの無い小さな公園に出かけて
滑り台で星を探そう
子供のころに一番さようならを言った場所
そのかけらが今でも落ちているかもしれない


子守唄なんかいらなかった
寝物語なんかいらなかった
ほんとうは
その方がずっと眠れた


強い気持ちを意識し過ぎて
僕らは滑り台の上で
寄り添って星を探す
一対の影になった




おやすみ


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