館山記/……とある蛙
港から程遠くない高台
急な坂をゆっくり登ると
桜の枝の間に覗く再建された天守閣
ゆったりと
本丸天守閣から海の風景が広がる。
遠く相模湾が霞み、その右手に浦賀水道
三方を山で囲まれたこの地は
阿波徳島の氏族の末裔が 拓いた海の要衝
物なりに恵まれ
上州の代官が現れるまで
豪族割拠の豊饒地だった
城山を鳶二羽が舞う
獲物を狙い旋回しながら下降する
っと 一度上昇し空中で制止する。
鳶の眼下には城山の緑と犬を連れた人間
いずれも獲物では無く
女郎蜘蛛と鳶だけが獲物を分け合う
犬の伝説が後付けの温暖な地は
古くから豪族が割拠する豊饒地だった
鎌倉がすぐ隣接する土豪武士の土地だった。
しかし、出迎えるのは
何故に鴉のブロンズか
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