煤けた夜/ホロウ・シカエルボク
いないわけじゃない、だた、だからどうすればいいのか判らないだけなのさ、だからどちらでもないような顔をして突っ立っている、道標みたいな有様でさ…うねりの中には明らかに意思があるだろう、そのことは判るんだ、ただ、それをどう解釈すればいいのか判らないのさ、飲み込まれるべきなのか、拒むべきなのか…だけど、こんな種類のうねりに巻かれることなどを拒む術などあるのかね?まあ、あったところでどう使えばいいのか判らないならないのと同じことか、風の中に臭いが混じり始めたことに気が付いているだろう、なにかしら黒く、重たい臭い…どんな種類の表現も似合わないような気がする陰鬱な臭い…月の無い夜の黒い海というのはある種の比喩
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