歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
歳。よしんば追いかけてこなくても時間を置きさえすれば持ち直せるという冷静なんだかリスキーなんだか混乱しているんだかよくわからない迷走で、野郎というのはつくづくお馬鹿な生き物であるというのは今更語るほどでもないのですが、彼女にとっては何が起きてるかさっぱりわからないわけです。
昨日まで仲むつまじく追いかけっこをしていた相手が今日になって突然止めると言い出したという事件は、彼女にとっては冗談のようにも聞こえたでしょうし、そうでないのならきっと自分とは関係の無い特別な一時的な事情があるのだろうと思ったのかもしれません。なにしろこの時点で彼女の中の鬼ごっこは終わってないわけですね。「鬼さんこちら手のな
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