ごあいさつ/はだいろ
 
グがわからないので、
トイレに立つと、
彼女がタオルを持ってきてくれて、
じゃあ、帰る?
と聞くから、
うん、帰る。
と答えて、
もう一度、よろしくお願いしますと、
頭を下げた。

電車に乗ると、
どっと疲れて、早く帰って寝たかった。
もしお金があれば、
大宮あたりのソープに行きたかった。
でもお金はないので、
また有楽町線と、総武線をのりついで、
帰った。

ほんとうに、あの女と、
これから、いっしょに暮らして、
赤ちゃんを、
育ててゆくのだろうかと思うと、
まるで、実感も想像もわかなかった。
だけど、彼女の、
ピカピカのマンションに住みたいという
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