切り捨て難い暗がりへ/
千波 一也
とを待ち伏せて
傷つくひとを待ち伏せて
憐れなひとを待ち伏せて
光を
恋うことの
矛盾のかげに
小さな安堵を忍ばせながら
わたしは曲がらぬ
軌跡でありました
すがしいひとの
迷いに触れた日は
背中をこころが
つたいます
冷たくなって
冷たくなって
命の浅瀬に
怯えます
それゆえ
海は果てしなく
空も変わらず果てしなく
わたしは
上手になるしかなくて
月日をかぞえて
笑うのです
切り捨て難い暗がりへ
幾度と知れず
繋がるのです
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