切り捨て難い暗がりへ/千波 一也
 
とを待ち伏せて
傷つくひとを待ち伏せて
憐れなひとを待ち伏せて

光を
恋うことの
矛盾のかげに
小さな安堵を忍ばせながら
わたしは曲がらぬ
軌跡でありました


すがしいひとの
迷いに触れた日は
背中をこころが
つたいます

冷たくなって
冷たくなって
命の浅瀬に
怯えます

それゆえ
海は果てしなく
空も変わらず果てしなく

わたしは
上手になるしかなくて
月日をかぞえて
笑うのです

切り捨て難い暗がりへ
幾度と知れず
繋がるのです






戻る   Point(3)