殺風景/faik
顔を上げるとそこは晴れ
雲が犇めく青い空
或る者がそれを美しいと尊び
まるで人の心みたいね、と
浅はかなリリックを書き連ねる
それと恰度おんなじ頃
社会生活にあぶれた蛇が
安アパートのポストでくだを巻き
埃という埃をその身に纏い
自分は選ばれし人間なのだという真理を得た
あれが罪か
君が罪か
奴が罪か
わけも分からず
きみは泣く
愛をおくれと賛美歌を口ずさむ売女は
齢十五にして酸いも甘いも絶頂も困窮も
薄情なゴム膜とスモッグ越しに学んで嘆き
劣悪なスピーカーから流れ出す
先陣に履き潰されたパンクロックを
盲信し盲進し果てに妄想の輪廻からも 潰え
か
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