−詩− no.3690/小笹綾子
 
無口な草原
冬も過ぎて
知らぬ間の
春も過ぎて
風の切っ先
夏を過ぎ
記憶の片翼に
秋を送り
空を仰ぎ
去りゆく年月に
心を奪わせ
失いつづけるきらめき
忘れ難き、遠き
いとしき、やさしき、かなしき・・・・・
降りかかる雪のように
芽吹く緑のように
波打ち際の砂のように
朽ちてゆく落葉のように・・・・・
雫のように
身をつくした、かつての 幻のように・・・・・
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