冬眠しないことば/かんな
 
ったりするものを
つかもうとして
つかめなかったりしています
夕焼けは
なんの終わりなのか
朝焼けは
それともなにかの始まりなのか
たいようは
簡単に私というにんげんを翻弄します

冬になります
それだけで何かが定まってしまうかのように
大気はこごえる
かじかんだ手の先をぬくめます
白い息を吐くだけで
ことばは冬眠をはじめる
いちぶの
眠りにつけないことばたちを集めて
つたない羅列を作ります
この季節をくぐりぬける文字列のつよさに
私はこころをあたたかくします

いつしか春になります
その想像を片隅にしまって
今はことば少なにいきていくのです




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