冬眠しないことば/かんな
降り積もる季節になりました
おもいが
私は忘れていた何かを思い出し
振り向いたり振り向かなかったりします
移ろう
というのは少し悲しいことかもしれません
それとも私は悲しいということばに
ぬるま湯に
浸っているだけかもしれない
おもえば
それなりにながい季節をいきていて
降りかかる結晶を
握りしめたことなどなかったかもしれません
やさしくない
そういうことではないと思っています
ただ大切なものを
大切にしてこなかったという
溶けていくような
後悔にときどき苛まれるのです
空を見上げて
あたりまえのように広がる
しあわせだったりしあわせでなかった
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