煙雨/faik
心の溝にくゆる煙(けむ)
二分ノ一の修羅妄執
言葉の辺(ほとり)に滴るそれは
烏合の如き矢を降らす
空は鈍色にして晴天
惚れた晴れたの夢枕
潤む空気はコンクリヰトの
性感帯を刺激する
汝、裁きを問うべきか
怨み晴らさでおくべきか
いかれ三味線ホロリと鳴けば
海も二つに割れるだろう
汝、生きつつ逝くべきか
逝かず地獄に生くべきか
崩れ家屋のトタンを剥げば
小さな幸せ見えようか
或いはそれを奪おうか
嗚呼、なんと穏やかな夜(よ)だ
なんと虚しく静かな夜(よる)だ
身を突くような冷たさよりも
心の雨が、我をつき刺す
心の膿が、孤独を煽る
嗚呼、今夜はなんて静かだ……
静かでありつつお賑わしい
例え空が晴れて居ようが
今宵は静かで、嗚呼やかましい
戻る 編 削 Point(4)