煙雨/faik
 
心の溝にくゆる煙(けむ)
二分ノ一の修羅妄執

言葉の辺(ほとり)に滴るそれは
烏合の如き矢を降らす


空は鈍色にして晴天
惚れた晴れたの夢枕

潤む空気はコンクリヰトの
性感帯を刺激する


汝、裁きを問うべきか
怨み晴らさでおくべきか

いかれ三味線ホロリと鳴けば
海も二つに割れるだろう


汝、生きつつ逝くべきか
逝かず地獄に生くべきか


崩れ家屋のトタンを剥げば
小さな幸せ見えようか
或いはそれを奪おうか


嗚呼、なんと穏やかな夜(よ)だ
なんと虚しく静かな夜(よる)だ

身を突くような冷たさよりも
心の雨が、我をつき刺す
心の膿が、孤独を煽る



嗚呼、今夜はなんて静かだ……
静かでありつつお賑わしい

例え空が晴れて居ようが
今宵は静かで、嗚呼やかましい
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