「コクリコ坂から」を見て/渡 ひろこ
 
久しぶりにジブリ映画を映画館で観た。この夏封切りの
「コクリコ坂から」。急遽予定が変更になり、時間に余裕
が出来たからだ。当初は他の洋画を観るつもりだったが、
ちょうど良い時間帯のものがなく、期せずしてアニメとい
う選択になったがこれが予想外に良かった。

主人公は昭和30年代の女子高生で、良き昭和の時代の
青春アニメ映画だ。昔のジブリ映画「風の谷のナウシカ」
のような壮大なスケールはないが、その代わり一点に集約
して繊細に制作されている。忘れかけていた日本人の生活
の中にあった情緒や、品性を保ちながらも揺れ動く若い男
女の心情の機微を丁寧に描いている。

奇しくもこの映
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