白い狂気/faik
 
今宵、狂気はにべもなく
ひどく静かにやってきて
藍の窓辺に、頬杖をつき
淡く虚ろに、佇むばかり

声を荒げることもなく
涙を湛えることもなく
笑み拵えることもなく
白い孤影をひたすらに



白い狂気よ、何故に
そんな無情な真似をする
いっそ私をはり倒し
汚い罵声をぶちまけて
節くれ立ったその指で
憂鬱な心を煽ればいい

それを私は糧にして
ウタを一篇、書いてやる
お前がそれで満たされぬなら
何篇だって書いてやる

そうすりゃ私も枕を高く
おまえの骸、腕に抱き
悔いることも飽くこともなく
豊かな惰眠を貪れる



白い狂気よ、何故に

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