夕暮れの空地/キメラ
お母さん
もうあと数分ながければ
僕はもうすこしうまくやれただろうか
突き放すような絶対的な太陽の拒絶
凍りつきながらも吐き出した白い息からも
その導線はゆるぎないままで
あと数分で泡にかえります
ポコポコと無の真空を舞う
無数の
無数の観念が悪戯な時計が
水流のように迫りくる紺色の歪みが
確かに直視した誰もいない午後は
或いは農村で鶏が藁に飛び跳ねながら
六人の娘を焼いたあの
或いは商店街のステンドガラス
くるくる回り心地よいあの祭り飾りの乱反射に
緑、赤、黄緑、黄色
銀杏に群がる無数の蝶と
ガラス玉ごしの蜘蛛をおい
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