ぺトルウス・パウルス・ルーベンス/m.qyi
ぺトルウス・パウルス・ルーベンス
あなたは偉大な企業家で
美食家で信心篤く
明晰な頭脳の持ち主で
そして美しい奥さんと、可愛い子供がいた
そんなことはどうでもいいんです。
色彩と動きと線のシンフォニーをかき鳴らした
光と闇のドラマを大画面に映写した
世界中に名を馳せた
そんなことはどうでもいいんです。
あなたが自分の手で描いた
手のひらほどのあの空の
遠くの風車小屋のはるか向こうに沈んでゆく
赤い夕日の ほんのかすかに見える
葦の水辺の
爪の先ほどの小さな切り株に
休ませてはいただけないだろうか
ほんの少しの時間でいい
あそこへ
腰をかけてはいけないだろうか
そして、
夕日が沈む
そのほんの短かな時間だけ
静かに
一人泣かせてはもらえないだろうか。
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