もしかしたらそれはさっきの鳥かもしれない/ホロウ・シカエルボク
止まっちゃうかもしれないくらい」冷たいって
俺は笑いながら手を入れて
熱いものに触れたみたいに慌てて手を引っ込める
君は笑う
「だから言ったのに」そう言われるのがもう何度目かなんて
とっくの昔に数えるのは止めた
それからは口を聞くことをやめて
黙ってサンドウィッチとホットコーヒーを飲んだ
時々自分たちが肉体を失くした気がして
そのたびに目線を合わせて存在を確かめ合った
そよ風が吹くたびに
世界が湖の中にあるような気がした
誰かがメランコリックなチョーキングを響かせているけど
もしかしたらそれはさっきの鳥かもしれない
戻る 編 削 Point(4)