まっすぐな明日に向かって/佐藤伊織
 
「どうしたの?」

「あのね」

「うん」

彼女の声はひときわ小さく、ゆっくりとこういった。

「死にたいの」

「…」

「…」

「…だって、君は…もうすぐ死ぬじゃないか」

「…」

「…」

「…うん。」

あの薄い毛布ですら、彼女には痛みの元なのだ。
私たちをつつむこの空気ですら、彼女を毎日苦しめるのだ。

「死にたい」といった彼女は

もうすぐ死ぬ




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