スケベ心/花形新次
 
海岸沿いの公園の
木製のベンチに座り
僕は深い緑の海を眺めながら
きみの考えに思いを巡らして

沈黙が続くことが
不安な僕は
空を見上げる

 ごらん
 ゆっくり流れる雲が
 きみの横顔に似ている

僕は唇に
右手の人差し指をあて
そのまま空に向けて伸ばす
雲に触れるぐらいに高く

そんな姿を
きみは不思議そうに見ている
 
ここ2、3日で
風はすっかり冬の匂いになって
それに呼応するように
僕らの距離はまた少し縮まって 
もうすぐ直接できるぐらいのところには
来ているんじゃないかな

 そうだよね?

 えっ、何?

暗くなるまでまだ時間はあるけど



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