わたしの天使は/石瀬琳々
 
わたしの天使は飛び降りる
高い塔からまっさかさまに
天使は翼を広げたまま
わたしへ向かってほほえむだろう


雪が降るように真っ白に
翼は光る冬のはじめの陽射し


   わたしのもとへ落ちてきて
   わたしのこころへと落ちてきて


この窓をあけてある朝見た空のいろ
いつまでもまなうらに焼きついている
何度も何度もこの窓をあけて生きてゆく
何度も何度も思いはいつも同じでも
どうどうめぐりの河であっても


わたしはここに居る
ここに立って見上げている


ある朝目覚めるよろこび
あれは冬のはじめの陽射し
とても遠い遠い場所から時をこえて
あれは高い塔から降りきたるひかり
それを両手で受け止めるために


   どうかわたしのもとへ落ちてきて
   わたしのこころへと落ちてきて


わたしの天使は飛び降りる
この朝もその朝もめぐるひかり
わたしにやさしくほほえみながら



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