リベルテ/Lily Philia
 



みずのいちばん深いところから
ららるら、ららるら
と、音がなっている。
どこがはじまりで
どこがおわりだったのかわからなくなった世界で
祝福は洪水になってあふれていた。
夏のにおいのする風をあつめ
つい、つぅいと水面をなでるとき
水底にしずむ黒い石の陰から
蟹たちが泡の声をあげている。
ふりそそいでくるひかりや
あわい木枝のかげをくぐりぬけて
いっせいにすべてがまたたくとき
そこにいっぴきの魚の影をみた。
からまるひかりの糸をほどいて
葉の一枚一枚のかげをほどいて
ゆっくりとしずかに
浮いてくるように泳いでいる。
ながい尾がひらひらと
音もなくくゆ
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