死んだ月の夜/ベンジャミン
 
むずかしい文字をならべて
遠回りする夜の端

薄ら寒い雲の流れ
赤い月の輪郭をなめながら

呼吸するのを忘れてしまった

僕は

闇に吊るされた灯りに手を伸ばす

重なりながら
宙を泳ぐ魚のように

溺れるだろう


死んだ月
その月の夜


一篇の詩ができあがる



戻る   Point(3)