秋空に慕情/モリー
 
間にしわを寄せている
なんでも栗ご飯をまだ食べていないらしい
後ろから来た車にクラクションを鳴らされ
彼のしわはより深くなった
私はその谷に落ちていく気がした

冬が来たら牡蠣を食べたい
あなたが傍で焼きそばでも食べていたらもっと良い
無情さも寂しさも
二人で飲み込めばきっと愛しいものになると思う

あなたが急に立ちこぎを始めた
赤と青が曖昧に交じる空
ずんと先を進むあなたの全身から溢れててオーラみたい
網の上の牡蠣のようにも見えた
自転車のライトがいつの間にか道を照らしている
可愛い背中だと、私は小さく息を吐いた

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