てんごくからのがらくた/Lily Philia
白い息を吐き出しながら
朝一番の病院ゆきのバスを待つ。
あたしの声は、
もう随分と白い息に呑まれ始めていて
夢の始まりのようにして
よくきこえない。
小さく逆さまに立ち上がった影から影へと
膨張しては重たくなる水。
泡溜まりはとうめい。
ひび割れた唇から洩れる
「どの海からもとうに遠いのよ。」
とゆう声。丸呑みにされてしまう。
そのすべてに
懐かしい匂いが染み込んでいる。
いつものように閉じられてゆく景色が
たよりなく浮かび上がる、
かすかに青ざめていて、
遠い記憶は
誰かの置き手紙のように白々しい。
幼いうたがいつまでも
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